怖い夢の話。(読まないでいいです。)

此の頃暖かくなつたり寒くなつたり、まつたく突拍子も無ひ空模様の毎日ですが皆様如何お過ごしでせうか。

特に此れとゐつて書くネタも無ひのです、こんな時に限つて。基本的に来週からの旅行の準備は完了しちやつたので、出会ふ人人に「お土産何がいい?」なんて、あげる気もなひのに(←!?)訊ひたりして居ます。いやマァ、何がしか携えて買って来るつもりでは居ります。ゑゑ。

うん、さうだ、之の前、随分と怖ひ夢を見まして。
怖かつた夢の話といふと、聞ひてみると或いは話してみると存外何でもなひ事に思へてしまふ物で御座いますが、当人としてみればそれはそれは生きた心地のしなひ、実に恐ろしい思ひをしたなあと、マァ当人にしかその恐ろしさは判らぬ者で御座います。今日はそんな自分の見た夢がいかに恐ろしかつたかを何とか他人にも理解してはもらへぬものかと、このやうに思つて大時代がかつた言葉遣ひをして居ります。

之の夢の内容はと申しますと、(えぇ、之より先は怖ひ内容となります。ご気分を害される恐れが御座います)

先ず、私が戦争か何かしている地におります。自分が兵士か農民か、はたまた町民かは判ぜませぬが、そこが独逸等の東欧か北欧のやふな佇まひの、少し雪のある、痩せた色味の乏しい土地で在ったと記憶して居ります。まるで昔のモノクロ映画のやふな視界の中で、自分は幾度と無く逃げ惑ひ、彷徨ひ、とうとう夜の森にて軍用犬を連れた大勢の兵士によつて多くの人とともに捕らへられ、何処とも知れぬ施設に遣られて順番に拷問の末に殺されるといふ夢で御座います。
焼けた火箸のやふな剣のやふなもので腹を抉られて次々と前の列のものが死んで逝きます。刻一刻と自分の死ぬ番が近づいてきていよいよ自分の番がやつて参ります。自分は焼けた鉄の手錠で後ろ手にされ、その熱さに悲鳴を上げます。それでも夢がまだ覚めなひのです。
余りの恐ろしさに、とうとう自分は視点をずらすことができました。つまり、宙に浮かんだやふになつて、自分の殺される姿を見て居りました。
自分は幾度と無く何本もの焼け火箸を刺され、もだえ叫ぶ姿はまるで狂喜して笑つて居るやふにさえ見へました。
自分は、自分が死ぬ所を、確かに見届けて後、夢から覚める事を許されました。



如何だつたでせうか。自分が死ぬ夢といふものは人間誰しも見るものだ、とはいひますが、此処まで克明に、容赦なく強制的に見させられたのは僕としても全く初めての事でしたので、その日は中々仕事をする気が起きず、然し仕事はせねばならず、酷い一日でありました。


怖ひ夢、最近見て居ますか?
貴方が今晩見る夢が、どうか良い夢でありますように。
それでは、お休みなさい。