風姿花伝 -世阿弥- を自分用に口語訳しようとしているところ。

この短い文章に示唆がぎっしり多すぎて死にそう。


技術者としてのアティチュードにこの言葉を活かせないかなという試行錯誤。

シルク・ドゥ・ソレイユとかでも「あ、あの釣り糸の耐荷重がね!、あれは実は3転保持になっててね、舞台の上に視線を集中させつつこの暗転中に下で次の準備が進んでて、」みたいなそういうところに目を向けさせないでただもう「ふわー!すごーい!」と楽しませるのがプロなんですよ、ということだと思うんだけど、そういうことを気にする客は楽しめないんじゃないのか、というきもするけど、現代はそれはそれで一つの楽しみ方としてありなのかも知れないとかも思う。

Aはだめ極解すぎ
Bはまだまだ
Cなるべく原文(これをもうちょっと進める予定)



原文
風姿花伝 -世阿弥-
秘する花を知ること。秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず、となり。この分け目を知ること、肝要の花なり。そもそも、一切の事(じ)、諸道芸において、その家々に秘事と申すは、秘するによりて大用(たいよう)あるがゆゑなり。しかれば、秘事といふことをあらはせば、させることにてもなきものなり。これを、「させることにてもなし」と言ふ人は、いまだ秘事といふことの大用を知らぬがゆゑなり。まづ、この花の口伝(くでん)におきても、「ただめづらしきが花ぞ」と皆知るならば、「さてはめづらしきことあるべし」と思ひまうけたらむ見物衆の前にては、たとひめづらしきことをするとも、見手(みて)の心にめづらしき感はあるべからず。見る人のため花ぞとも知らでこそ、為手(して)の花にはなるべけれ。されば、見る人は、ただ思ひのほかにおもしろき上手とばかり見て、これは花ぞとも知らぬが、為手の花なり。さるほどに、人の心に思ひも寄らぬ感を催す手だて、これ花なり。


A、
風姿花伝 -世阿弥-
ノウハウの秘密を守ること。ノウハウとは秘密にすることそのものを指し、秘密でないものはノウハウとは言わない。この秘匿と公開のラインこそが真のノウハウ。いかなる技術でもノウハウというのは秘匿することで大きな価値を生んでいる。ノウハウを明らかにした所でつまらない状況が生まれるだけで、これを秘密にする意味が無いという人は、秘匿するということの価値を知らない。超一流の技術はまさに「唯一無二の独自性=ノウハウ」の世界で、詳しくない人間の前では、たとえ凄い事をしていても、それがそうであるという事を気づかせてはいけない。見る人のためそれを気づかせない事こそ技術者の誇りとすべきだ。見る人はただ「なんかわからんけどすごい」とただ楽しんで、これは物凄いノウハウとも知らないのが理想。こんな風にして、人の心に思いも寄らない体験を生む、価値を生み出す。それがノウハウ=今の時代に求められるクリエイティビティなのだ。

B
風姿花伝 -世阿弥-
秘匿されているノウハウの存在を意識すること。ノウハウとは気付かれないモノを指し、気づかれてしまうものはノウハウとは言わない。この秘匿と公開のラインこそが真のノウハウ。いかなる技術でもノウハウというのは存在を気づかせない事で大きな効果を生む。だからこれが隠されたノウハウだと明らかにしたら「そんな事誰でもできる」の世界であって、「そんな事誰でもできる」という人はそこに秘匿されているものの大きな効用に気づいていない。この文の読者の共通認識として「ノウハウ=唯一無二の独自性そのもの」ということがあるとして、詳しくない客の前では、たとえ凄い事をしていても、それがそうであるという事を気づかせてはいけない。見る人のためそれを気づかせない事こそ技術者の誇りとすべきだ。見る人はただ「なんかわからんけどすごい」とただ楽しんで、これは物凄いノウハウとも知らないのが理想。こんな風にして、人の心に思いも寄らない体験を生む方法=これがノウハウなのだ。


C
風姿花伝 -世阿弥-
隠されたノウハウの存在を知ること。隠せばノウハウ、隠さなければノウハウとは言わない。この秘匿と公開のラインこそが真のノウハウ。いかなる技術でもノウハウというのは存在を気づかせない事で大きな効果を生む。だからこれが隠されたノウハウを明らかにしたらそんな事するのは容易いもので、「そんな事するのは容易いもの」という人はそこに秘匿されているものの大きな効用に気づいていない。この文の読者の共通認識として「ノウハウ=唯一無二の独自性」であるとして、「これはノウハウだ!」と気づき見抜こうとする目の肥えた客の前では、たとえ凄い事をしていても、「凄いノウハウを見た!」という事を気づかせてはいけない。見る人のためそれを気づかせない事こそ技術者の誇りとすべきだ。見る人はただ「なんかわからんけど楽しい」とただ楽しんで、これは物凄いノウハウとも知らないのが理想。こんな風にして、人の心に思いも寄らない体験を生む方法=これがノウハウなのだ。