FaceBookで実名を公開することのメリット・デメリットについて。

FaceBookは「垣根を設けないこと」こそがメリットの本質です。
だから実名。学歴から何から全部公開。欧米は実名が基本のネット文化ですし。そこが日本でもビジネスチャンスとして輝いて見える部分でもあります。

でも本当に「そんな装備で大丈夫」なのでしょうか。
実名を公開することに危険はないんでしょうか。
日本の匿名文化には何のメリットもないのでしょうか。匿名では実名と比べてハードルがひとつ設けられてしまう。一種のセキュリティなんだから当然です。自分のハンドル名をオフラインで教えるというパスをかけているわけです。

僕はポイントは2つだろうと思います。
・実名公開することのデメリットは何か?あるとすればどの程度の問題で回避は可能か。
・日本国内でFaceBookと外のサービスでも実名を普及させることにそれぞれメリットはあるのか?

まず「実名公開することのデメリットは何か?あるとすればどの程度で回避は可能か。」

デメリットは
「匿名サービスと紐つけたときに恥ずかしい。
SNS内で恥ずかしいことができない。(僕は恥ずかしいことをしない人間なんていないと思っています)」
その程度は
「普通の人は問題ないと思います。でもFaceBook特有ではないけど問題はあります。」
「最悪の場合、人生、仕事、家族友人関係に支障が出ます。」
「死ぬまではいかないけど、特にリテラシーが低い場合は会社にいられなくなったり、家族友人と関係修復に数年を要するような自体も起こりえます。」
回避は
「気を付けていれば回避できるけど、気をつけないことがサービスの本質なので無理でしょう。基本は運任せ。最高の回避策はFaceBookを使わないこと。」
だと思います。
実名公開はユーザーにもメリットが大きいことは事実です。実名は非常に簡単に検索できますからネットと現実世界がスムーズに紐づきます。中学時代の旧友とか今までに接点がなかった同業の著名人とか気軽に接点が持てたりします。しかし、ネット上でいかがわしいことしていない自信がある人ならともかく、今まで匿名でやってきたところと地続きになってしまうと困る人がいます。最近はtwitterandroidはじめサービス間の関連やマッシュアップが一般化しつつあるので、大抵の人は特に問題は起きないでしょうが国内ではうっかり色々と恥ずかしい問題が起こる人もいらっしゃるだろうと思います。

じゃネット上でいかがわしいことしなければ大丈夫なの?というと僕はいかに公明正大な人でもリスクがあると思います。友人の友人がオタクだったり、それ以上にヤバい人だったりするからです。いわゆる「6次の隔たり」問題ですね。

もっと問題なのは恋愛関係でしょうね。
例えば、あるゲイのユーザーがいたとします。彼は周囲にカミングアウトし、普通に暮らしている。そして当たり前のようにFaceBook上で友人知人とコミュニケートする。ある日、仕事場の同僚が彼の存在をFaceBook上で見つけます。彼がゲイであることを知る。とここで2つの問題が生じます。

1,ゲイであるということがビジネス上で彼を直接攻撃する材料に使われる危険性
2,直接でなくても彼とFaceBook上で繋がっている同僚がゲイ視されたり、ゲイ視されることを嫌がって彼の周囲から人が離れたり彼がそれで傷ついたりetc・・・

偏見は廃絶されるべきで、性的マイノリティの存在は害がない限り尊重されるべきでしょう。でも偏見はなくならないし、攻撃を受けるリスクも存在する。
実名の下では行動が制限される、というよりWEB上ではうっかりリスクが増加する。
あると思いますよ。
そういう人は実名でそういうことはしない、と思われるかもしれません。でもそうではないんです。問題を単純化するために性的マイノリティ問題を例として出しただけで、本人が気付かないウィークポイントは結構多くの人が持っています。
そしてサービスが流行ってユーザーが増えるということは、うっかりやっちゃう人が必ず出てしまうんです。

あとFaceBookの場合、当初は高学歴者をメインにしたサービスということでユーザーの品質を担保していました。でももうユーザーが多様化しているのでそうもいかないでしょう。カオスになることが予想されます。

忘れてはならないのは、本名や学歴公開は「使い勝手のよい個人情報データベース(実名や実際の住所や電話番号、学歴を網羅した)を収集しビジネスに活用したい」
「出会い系サイトとしての魅力を維持したい」というFaceBook企業側の都合であるということです。企業に個人情報を把握されることはメリット・デメリット両方あるので、個人の判断でしょうけども。

次。「日本国内でFaceBookとそれ以外外のサービスとで実名を普及させることにメリットはあるのか?」
僕はやりたい人はやればいいと思っていて。大抵の人にはそう致命的な問題は起こらないと楽観しています。FaceBookは海外の人とコミュニケートできますし、国内で実名文化がFaceBook内で根付けば面白いと思います。ただ国内の他のSNSやサービスでは実名はふつうの人は特にメリットないんじゃないかと思っています。人気商売の人でない限り。

ここからは雑談。
個人的に「快適なんだから深く考えずに実名で飛び込んじゃいなよ?」という主張は、理解できますが他人に強制するのは僕には傲慢な気がしてしまう。
いかに愚かで旧弊なこだわりでも、それを尊重しない社会は厳しい。僕は様々な価値観を許容できるサービスこそがとりわけ日本では、そしてひいては多様な国籍や文化に広まって行けると信じています。
僕的には、欧米の人間の生活や道徳規範に対する厳格性は性に合わないです。
日本の匿名社会については、ひとつには2chの影響は間違いなくあるだろうと思います。悪口や誹謗中傷を匿名で書きこんで憂さ晴らしをするという。
あと国民性として「狭い社会に生きるクセ」がついていて実名や顔写真は精神的に抵抗感があるというのもあるかもしれません。
でもそれ自体を僕は大きな問題だと思っていません。問題は「実名でネットすべきだ。アメリカではそれが普通だからだ(キリッ)」と平気で主張する輩でそれって単なる欧米至上主義ではないの?という。
暴論をするなら僕は欧米のFaceBookユーザーは実は危機管理意識の薄い田舎者+情報弱者が多いんじゃないかと思っていて。モバゲー登録を本名でやっちゃう女子中学生みたいな物だと思っています。
FaceBookの流行ってFarmVille(要はサンシャイン牧場)のおかげで日本のmixiと大差ないんじゃないのかと思うのです。

ちなみの匿名のデメリットは個人攻撃や誹謗中傷がしやすいという点だと思っています。ネットは「たとえ少数派の意見でも書き込みが多ければ声が大きく見える」という特性がありますので悪意に対してもろい。炎上の可能性が高い。実名ならば中傷書き込みをした人間の名前も出ますので抑止力になりうる。

おもしろいのは匿名性の下では単位が行動ベースになること。これはもはや実名の本人有りきとは全く別個の社会と言えるかもしれない。
匿名でも活動単位での統一性が保てればいい。

僕?実名で飛び込みました。こういうモノは深く考えないでエイヤッと飛び込んでしまって痛い目見ながら勉強するに限ると思っていますので。