ローズの荷物と遊牧民の写真。あるいは写メの危険性。

タイトルは特に駄洒落めいた意味合いではありません。

「モノより思い出」とは、ホンダのCMの言ですが、
多少は「モノ」にこだわろう、という話です。



僕の妹が、来月結婚することになりまして。
長男である僕を差し置いて。
まったくけしからんことです。


でですね、妹の旦那が
来月の今頃には我が家(実家です)で住み始めるのですよ。
(それをマスオさん的と呼ぶのは彼の名誉に照らして僕は言いたくない)

それにあたりこの数週間、祖母が生前使っていた部屋を新居に改装中なのです。


今日、祖母の4回忌だったんですね。
午前中、小雨の振る中を家族で墓参りして。
僕は午後から仕事。で今、仕事から帰ってきたところ。


工事中なのでビニールで入り口とか覆われた祖母の部屋を見て、
いきなり感情がこみ上げてきて嗚咽とかし出してしまう僕。

別にね。旦那が家に住むのが嫌と言うわけではない。
妹の結婚、もちろんすばらしいことです。


ただ、思い出の詰まった場所が消えてしまうことが
とめどなく切ない。


涙としゃっくりが勝手に出てくる。


・・・20年以上一緒に暮らした肉親の思い出の部屋がなくなったんですもん。
涙の一滴くらいは出してもいいですよね。


しかし僕の父(祖母の実子)はよく決心したなと。
僕の知らないところで、父はこっそり心の整理をつけたのでしょう。
娘の新しい人生の門出の為に。


「モノ」って、やっぱ思い出が詰まります。
特に家なんて、思い出のカタマリですから、重いです。



タイトルですが、

映画「タイタニック」で冒頭、年老いたローズが
大量の荷物とともに狭いサルベージ船内にやってきます。
観客は「なんて傍若無人な老人だろう」と思うのですが、
ラストになって老人が携える大量の荷物の意味がわかる。

彼女の歩んできた人生。その証。捨てられない思い出の数々。
ローズが逞しく情熱的な人生を送ってきた証なんだなと。



話が飛びますが、
一方、モンゴルの遊牧民はその生活様式上、余計なものを持たないそうです。
一箇所に定住しないので日本の古典の「井筒」「丈比べ」的な
場所的依存もあまりないようです。

でも彼らは家族の写真はとても大切にするのだそうです。
「思い出」をかさばらないように持っているのでしょう。


さらに話は飛んですいません。
最近母が写メで撮影した妹のウェディングドレスの衣装合わせの写真を
ファイル破損、あわや消去、という一幕がありまして。

母は最近、思い出の写真も全部写メで残そうとするので、
都度都度そういう騒動がある。

そういうことがあると、現物の残らないデジタルは怖いと思います。

そんなこんなで
やっぱり多少かさばろうと、
思い出はブツで残しておいたほうがいい。
そう思った今日この頃です。

ではでは。